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9月24日から利用が可能となったPS3でアクセスするPLAYSTATION Network(PSN)上の映像配信サービスについて今更ながら触れてみたいと思います。
このサービスはSCEが独自に展開する映像配信サービスで、PS3をネット接続することでアクセスできるPSNで「ゲーム」の動画、体験版や有料DLコンテンツの配信といったものとは別に「ビデオ」という項目を新たに設けStore内で映像を有料配信するものです。そのため当然ながらサービスを利用できるのはPS3ユーザーだけという事になります。

視聴の方式は現在のところ全て視聴期間制限のある"レンタル"方式になっています。
動画ファイルをDLし、視聴後72時間でPS3のHDDから削除されます。また、視聴していなくても購入後30日が過ぎるとやはり削除されます。現在はこのレンタル方式だけですが、今後買い切りなどの方式が出る可能性もあるでしょう。

ではどのようなものが見れるのか。
24日のスタート時のラインナップは全部で41タイトル。全てアニメーション作品でTVシリーズ、OVA、劇場作品とそれなりに揃っており、それぞれ設定されいる価格帯が違っています。その詳細と価格については下記リンク先ページに綺麗にまとめられています。

▼AV:Watch PSN動画配信のコンテンツ一覧
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080924/sce2.htm

今回このサービスで注目すべきなのはこのラインナップ中にPSN独占配信タイトルがあるということです。以前記事にもしましたが、『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』の"ボンズ"制作アニメーション『亡念のザムド』がそれです。SCEが今回の映像配信サービスの看板タイトルとするこの『亡念のザムド』は地上波放送の予定もないPSN限定アニメという扱いになっています。これはアニメファンとしても注目すべき事で、見た事のないアニメをDVDやBDを買うのではなく配信で初めて見るという新しい形なのです。それも毎週更新(第12話までは毎週2話更新、13話からは週1話更新)されることで"毎週の楽しみ"というTVシリーズを意識した展開になっています。

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この新作の『亡念のザムド』に関しては映像クオリティ(解像度)もHD(720p)とSDを選択することができ、映像品質にうるさいアニヲタにも配慮がなされていますw (他タイトルでは現在のところSDのみ)

さて、ここで問題となるのはその価格です。
ザムドだけに用意されたHD仕様が400円。SD仕様が300円というこの価格は適正なのか?また"買い切り"ではなく"レンタル"方式であることに不満はないのか?
色々なところでこのサービスについての意見を見てきましたが、基本「レンタルで400円は高い」という意見が多数であると認識しています。400円という数字だけならまだしも、全26話全てを視聴することを考えた場合総額で1万円を超えるという点がネックとなっているようです。手元に残らないレンタル形式でそこまでの出費は・・・確かに人によっては抵抗があるでしょう。

しかし個人的にはこの価格に不満は特にありません。もちろん"買い切り"方式といった別の追加要素は必要だとは思いますが、このレンタル方式が特別劣っているとは思えません。ザムドに限定した要素も含んで以下に挙げられるのがその理由です。

・『亡念のザムド』は完全新作アニメーションであり、他では見られないプレミア性がある。
・HD/SD共に非常に綺麗な映像に仕上げられている。
・PS3の優れた再生支援機能(アップコンバート等)でより高画質で再生する事が可能。
・SDコンテンツはPSPに転送(ムーブ)し視聴する事ができる。
・PS3とブロードバンド環境さえあればサービスそのものが快適で利便性が高い。
・DVD等の新作レンタル平均価格帯(350~450円)を超える価格設定ではない。


こんなところでしょうか。自分としてはこれで十分元が取れると考えています。
一番上に関してはアニメファン、アニヲタであればあるほどその価値は高いと思われますw
このメリットの中にもPSPにムーブしたその後は再ムーブができないといった細かい要改善点は存在しますが、そういうものに関してはサービスの開始したことによってこれからでてくるニーズにSCE側が答え様々な検討・改善を図っていくであろうと期待し、現状はこのテストケースとも言える新しい映像配信の形としてはまずまず良い内容になっているのではないかと思うのです。

むしろ、自分にとっての懸念点はAVwatchの記事で以下引用の中にあります。

問題は「亡念のザムド」がアニメ作品であり、この作品を“いち早く観たい”というアニメファンの多くが、アニメのBlu-rayを率先して購入する層とかぶっていることにあるだろう。ザムドのBDビデオ化はまだアナウンスされておらず、出るにしても価格が幾らになるのか不明だが5万円を超えることは確実だろう。となると、将来的に5万円払ってセルBDで揃えるものに、さらに1万円支払って一足先に鑑賞するか? という問題に突き当たる。結論としては“コンテンツの魅力による”わけだが、判断するためにも“1話のみ無料配信”などのサービスは欲しいところ。いっそのこと「PSN配信のみで、絶対にBDビデオで出ない」と宣言されれば話は別だが、BDビデオ版も欲しいというアニメファン心理もあり、悩ましいところである。

まさにその通り!と声を出して言いたくなるような非常に自分の心境を代弁していただいたかのような内容になっています。この辺りはさすがAVwatchのアニメ関連の記事担当者は良く分かってらっしゃいますw

えっとつまり、ここまでの高品質アニメとなるとやはり必ずそこには"Blu-rayDisc"という存在が求められてくるわけです。『亡念のザムド』は既に海外でも先行して配信されており、内容に関しては世界共通で評判は上々。作画クオリティで言えば劇場作品に匹敵するレベルである本作で、BDという媒体をスルーできるのか?

・・・・まぁここらの葛藤は勝手にやってろという感じではあるんですがw
ここで求める点があるとすればやはり"買い切り"方式の追加でしょうか。
高画質であり、パッケージ版ほど高くはなく、手軽に買え、そして手元に残せる。映像スペックで制限される面は出てきますが、BDを買い揃えるという決断にまでは至らずとも動画を保存しておきたいというパターンは確実に存在すると思われます。TV放送を録画するという意識が濃い日本では特に。

もっとも、現在配信されているレンタル方式でも映像/音声出力からのHD/SDキャプチャにより保存をすることは事実上可能で、自分もHDキャプ環境がある身としてとりあえず可逆コーデックでの取り込み⇒保管用エンコードはしていきます。しかしこんな環境構築が必要な敷居の高い方法ではなく、やはりサービスそのものが優れた改善をすることに期待したいです。

『亡念のザムド』の独占配信を持ってサービス開始したPSNのビデオストア。
今後はこういった新作アニメはもちろん、PS3で配信してこそ価値があるゲームに関連した映像・番組や、海外で配信されている『プリズンブレイク』などといったアニメ以外のTVドラマ・映画コンテンツの拡充、既存のSD仕様だけではなくHD仕様の充実が求められるところだと思います。課題は多くありますが、PS3という魅力的なハードで展開されるこのサービスがより一層便利で充実したものとなっていけばと期待しています。


次回は映像コンテンツそのものについて触れる予定です。
また『亡念のザムド』の内容に関しては別にレビューしてみたいと思います。

亡念のザムドPS3

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